美味しそうな匂いをたてるそれらに目が奪われ、そしてすぐにこめかみが痛くなった。
なんて反応をしているんだ…。まるで餌を待つ犬じゃないか。
疼くような痛みはまだ私が私である証拠だ。
これがなくなったとき、私はどうなるのだろう?
「先生、なにが良いですか?やっぱり最初はサラダかな」
野菜たっぷりのポテトサラダ、トロトロのオムレツ、冷製Zuppa di verdura(イタリア式野菜スープ)、芳しい香の焼きたてのパン…。
代わる代わる彼女は私の口に料理を運び、時折別に置かれた同じものを口にした。
最後に何時もブレンドコーヒーが出て来る。
朝食の好みと良い、彼女が私の嗜好にかなり詳しいと気付いたのは、確か三日目の朝だった筈だ。
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